2014年8月

【「如来の法の中に、吉日良辰を選ぶことなし」】

あなたは、何を心の軸として生きていますか?

大事な局面に、その人の信念が露呈するもの。

おかしなものを信じていては、幸せになれるはずがありません。

大学時代、甲府に住んでいた私は、年配の方々から、
地元の英雄、名将・武田信玄について、
何かと聞かされたことがありましたが、
その中で忘れられない話の一つを紹介します(^_^)

信玄が、信濃(しなの・長野県)制圧を目指していた頃。
全軍が出陣しようとしていた、まさにその時。

一羽の鳩が飛来し、庭の大樹にとまりました。

それを見た兵士たちは、皆、「わぁー」
と歓声をあげて喜んだのです。

不審に思った信玄は、老臣に尋ねました。

「なぜ、兵士たちが、あんなに喜んでいるのか」

「出陣する際に、この木の上に鳩が来たならば、
 大勝利間違いなしと、昔から伝えられております。
 大変、縁起のいいことです。
 兵も必勝を確信し、沸き立っているのでございます」

老臣もうれしそうに答えました。

しかし、信玄は表情を変えません。

それどころか、、
黙って鉄砲を手に取り、たちまち鳩を撃ち落としてしまったのです。

「殿、何をなされますか。
 吉兆が凶兆に変わってしまうではありませんか」

老臣は驚いて詰め寄りました。

「かりに、鳩に吉兆があるとしよう。
 では、次の合戦の時に、もし、鳩が飛んでこなかったら、
 おまえたちは、どんな心境になるのだ」

「。。。」

老臣は答えられません。

信玄は、出陣する兵士に諭しました。

「鳩が来たら縁起がいいと喜ぶ者は、
 鳩が来なかったら、今度の戦いは危ういのでは、
 と不安を抱くに違いない。
 そうすれば全軍の士気が下がる。
 戦わずして、負けたも同然ではないか。

 ささいなことを信ずる惑いを解いてやったのだ。

 むしろ、普段から戦いに備えて自己を練磨し、
 必勝の信念を持つべきである」

鳩がかわいそう、と思いましたが、、
インパクトは絶大ですね(^_^;)

戦国最強の武田軍団は、信玄の、
こうした冷静な判断力で育てられていったと言われます。

「如来の法の中に、吉日良辰を選ぶことなし」(涅槃経)

※吉日良辰(よい日柄ということ、大安吉日と同じ)

ブッダは、日に善し悪しがあるという縁起かつぎは、
一切迷信だ、と説かれました。

善いのも悪いのも、自分の運命のすべては、
自分の行いが生み出したもの。

仏教では、これを「自業自得」と教えます。

世間で、善い運命を得て喜んでいる人に、
それはお前の「自業自得」だよ、と使う人はいませんが、

仏教では、善いのも悪いのも、
私が得る運命のすべては私の業(行い)が生み出したもの、
と説きます。

この「自業自得」の道理を心の軸にして、
共にまっすぐな生き方に心がけてゆきたいと思います。
 

【優しい言葉、励ましの言葉とそれに伴う実行】

各地、集中豪雨で大変な中、
頑張っておられる方々の苦労を思うと私も私の立場で、
精一杯、利他行に努めなければと思わずにはおれません。

甲子園の熱い戦いも大詰めを迎えていますが、、
今回は、アメリカの野球史上で最も有名なベーブ・ルースについて。

彼は、1920年代に、ニューヨーク・ヤンキースで大活躍、
引退するまでに、通算714本のホームランを打っています。

この世界記録は、その後39年間、破られることはありませんでした。

ルースには、球場の外でも、子供たちに夢を与え、
元気づけたエピソードが数多く残っています。

中でも有名なのは「約束のホームラン」。

1926年、ヤンキースは、リーグ優勝を果たし、
最終決戦のワールドシリーズに臨むことになりました。

試合に備えていたルースに、見ず知らずの男性から一本の電話が。

原因不明の難病で苦しむ11歳の少年の父親からでした。

「息子のジョニーは、背中の病気で寝たきりになっています。
 医者から、もう手の尽くしようがないと言われています。
 病で苦しむ中、唯一の明かりは、ラジオであなたの活躍を聴くことです。
 あなたの新聞記事は、すべて切り取ってスクラップしている大ファンなのです。
 そんな息子に、サインボールを送ってやってもらえませんか」

とても無理と思いつつ、わが子を元気づけたい一心でかけた電話に、ルースは快く承諾。

大事な試合の前日、ニューヨークから子供が入院しているニュージャージー州の病院へ、片道3時間をかけて駆けつけたのです。

突然ルースが目の前に現れ、ジョニーはびっくり!

写真でしか見たことのないスーパースターが、今、目の前に現れ、
しかも、バット、グラブ、ボールのプレゼントまでしてくれた。

さらに、
「ワールドシリーズで、僕のためにホームランを打ってください」
と小さな声でお願いしたジョニーに、ルースは明るい笑顔で言いました。

「君のために特大のホームランを打ってやる。
 そのかわり、君も元気を出して、病気なんかに負けるんじゃないぞ。
 これは約束だ!」

翌日、ルースの打った打球は、みごとライトスタンドへ!

ラジオに耳を傾けていたジョニーの感動は、躍り上がらんばかり。

ルースは、このワールドシリーズで4本ものホームランを打ちました。

「ルースは、僕との約束を守ってくれたんだ。
 今度は、僕が病気に勝たなくっちゃ」

これまで絶望感しかなかったジョニーの心に、希望がわいてきました。

なんと、次第に立って歩けるようになり、やがて学校へも通い、完全に病を克服したのです。

ベーブ・ルースが晩年に病床に伏すと、今度はジョニーが、
かつての恩人を見舞ったといわれています。

優しい言葉、励ましの言葉とそれに伴う実行には大きな力があります。

相手に生きる勇気を与えるだけでなく、
時には、命を救うほどの力を発揮するのです。

お釈迦様は、相手を思いやる行為(布施)の大切さを、
心と口、体の三方面から、具体的に、事ある毎に説かれていますが、
私も精一杯、実行に心がけてゆたいと思います。
 

【「不潔な職場に、優秀な従業員はいない」】

忙しい、忙しいで、ついつい掃除が疎かになりがちですが、、
常に、部屋の掃除に心がけてゆかねばと思います(^_^)

「不潔な職場に、優秀な従業員はいない」

これは、ヘンリー・フォード(アメリカの実業家)の名言です。

実際、彼が作った自動車工場は、
清潔さに、最も重点が置かれていました。

工場を新設したり買収したりすると、まず、大掃除。

日常も、清掃、窓ふきを、従業員に厳重に行わせ、
床や机の上が乱雑にならないように注意を呼びかけていたそうです。

しかも、工場の隅にあたる暗い場所には白いペンキを塗り、
少しでも汚れると、すぐに分かるようにしていました。

彼は常に、

「フォード社の工場内部や外庭の清潔さは、
 普通の公園よりも、はるかに勝っている」

と言っていました。

なぜ、そこまでする必要があるのか。

彼は、続けます。

「不潔な職場には、自然と怠惰な従業員が集まってくる。
 それだけではない。
 勤勉な人にも悪影響を与え、
 全体の能率、品質も低下させる」

フォード自動車会社は、1903年の設立以来、急成長を続け、
アメリカを代表する企業となりました。

日本の企業からも、次のような指摘が聞かれます。

「机の上が散らかっている社員はミスが多い」

「掃除の行き届いていない工場からは、不良品が出る」

「タバコの吸い殻やジュースの空き缶が散乱している現場には、
 トラブルが多い」

このため、「整理」「整頓」「清掃」「清潔」などを、
会社の重要な方針と位置づけ、
社員が一丸となって取り組む企業が増えています。

清潔さと、仕事の能率、品質は、深い関係があるようです。

お釈迦様は、「修行の基本」である、
と掃除を徹底して勧められました。

人間形成によく、全てに通ずるので、
明るい家庭、安全な社会を築くうえでも
勤めてゆきたいと思います(^_^)
 

【人知れぬ努力が大事】

仏教講師をして15年になりましたが、、
人前で話をするのは本当に難しいなぁ。。
と思い知らされる毎日(^_^;)

少しでも分かり易い話ができるよう、
死ぬまで研鑚あるのみです。

演説のうまさで知られる
アメリカ合衆国32代大統領ルーズベルトは、
大統領に、異例の4選を果たしました。

ある日、突然、
「明日の歓迎会で、大統領に演説していただきたい」
という依頼が舞い込みました。

秘書官が、「どうなさいますか」と尋ねても、
ルーズベルトは即答しません。

「明日の演説まで、あと何時間あるかね」

「20時間です」

彼は、しばらく考えて、

「15分くらいなら引き受けてもいい」
と、答えました。

なぜ、「15分くらいなら」と言ったのでしょう。

ルーズベルトは、どんな短い話をする場合でも、
必ず原稿を書いて臨んでいました。

いかに分かりやすく、感銘を与える内容にするか。

何度も推敲して書き直すので、1分間の原稿に、
最低でも1時間はかかったのです。

原稿の執筆に15時間、休養に5時間という計画を立て、
引き受けるや、一切の面会を断り、夜通し執筆に専念。

そして、翌日の演説では、いつものように、
聴き入る人々に、深い感動を与えたといいます。

雄弁家として名高い、28代大統領ウィルソンにも、
こんな逸話が。

ある人が尋ねた。

「あなたの演説は、とても評判ですが、
 準備に、どれくらい時間をかけられるのですか」

「それは、演説の長さによります」

「では、議会での長時間の演説は、大変でしょう」

「いや、そういう意味じゃありません。

 5分間の演説の準備に、最も時間をかけます。

 2週間は必要です。

 30分の演説ならば、準備に、1週間くらいかかります。

 もし、何時間でも、好きなだけ話をしてもいいと言われれば、準備はいりません。

 今すぐにでも始められます」

短い話のほうが楽なように思いがちですが、
彼は、まったく反対でした。

演説が短ければ短いほど、時間をかけて題材を厳選し、
話の流れ、言葉遣いを研究。

そこまでの準備がなければ、人の心を動かす話など、
到底できないのだと、まさに身を削るような作業を続けていたのです。

多くの人々から拍手喝采を受ける演説は、
人知れぬ努力から生まれていたのでした(^_^)

大型台風接近で外に出歩けない今こそ、
大事な学びを深め、分かり易い話ができるよう努力研鑚しなければ。

時間を大切に、終生、ガンバ!!
 
 

【「もったいない」の精神】

【「もったいない」の精神】

毎日、暑い日が続いています(>_<)

商店街ではエアコンがきき過ぎてギンギンに冷えた店も多く、
「電気料がもったいないなぁ。。」と思いながらも、
涼んでいる私。。(^_^)

「もったいない」と言えば、
ノーベル賞を受賞した環境保護のワンガリ・マータイさん。

日本に「もったいない」という考え方があることに感激し、
この言葉を世界共通語にしようと、2005年3月には、国連のある委員会で、
参加者全員に「モッタイナイ」を唱和させたほどでした。

日本語の「もったいない」は、
決して「出し惜しみ」という意味ではありません!

「物を大切に使う」の心が込められているのです。

これこそ仏教精神!

頂いた物は大切に受け取って使う、
人に与えられる物は相手の幸せを願って出来るかぎり布施する。

どちらも物を大切にしている姿です。

釈迦の優れた弟子の一人、阿難は美男子の上、優しいので、
女性の憧れの的でした。

ある国の王様に招かれて説法をした時も、
城中の500人の女性が皆集まって、熱心に聴き入っていました。

人として生きる意味を聞き、感動した彼女たちは、
精一杯のお礼がしたくなったのです。

そこで、500人全員が、王様からもらったばかりの高価な
衣を寄付することにしました。

翌日、王は、朝食の準備をしている女たちの姿を見てびっくり!

古い衣を着ている者ばかり。。

「なぜ、わしが与えた新しい衣を着ないのだ」と問うと、

「はい、仏教を聞かせて頂いたお礼に、布施いたしました」の返答。

腹を立てた王は、すぐに阿難を城へ呼び出し問い質す。

「500枚もの衣を受け取ったというのは、本当か」

阿難は穏やかに答えました。

「そのとおりです。私個人へではなく、
 仏教のために使ってほしいという気持ちで寄付された物です。
 断る理由はありません。ありがたく頂きました」

「そんなに多くの衣を、どうするつもりだ」

「お釈迦さまには、沢山のお弟子があります。
 寄進してくださった方の気持ちを大切にし、
 皆に、分け与えます」

こう言われると、もともと仏法を尊く思っている王なので反論できません。

しかし、意地悪く追究するのでした。

「では、それまで着ていた古い衣は捨てるのか」

「いいえ、下着に作り替えます」

「古い下着はどうするのだ」

「縫い合わせて、寝る時の褥(しとね:敷き布団)にします」

「それまで使っていた褥は」

「敷物にします」

「古い敷物は」

「足をふく雑巾にします」

「古くなった雑巾は」

「細かく切って、床や壁に塗る泥に混ぜて使います。

 私たちは、施しを受けた物を、決して無駄には致しません」

王は、釈迦の弟子たちが物を粗末にせず、
どこまでも生かして使うことを知って、心から敬服するのでした。

阿難は、品物を下さった人の心を大事にし、
頂いた物を大切にしています。

物をため込み、出し惜しむのではなく、
少しでも物を大切に生かせるよう、
必要としている人には積極的に与え、
自分が使う時には大事に使う。

共に、心がけてゆきたいと思います(*^_^*)
 

【天才とは、1%のひらめきと、99%の努力である】

前回に続き、トーマス・エジソンについて紹介します(^_^)

彼は、幼いころ、勉強についていけず、小学校は3カ月で退学。
学歴は何もありませんでした。

しかも、12歳の時から耳を悪くし、難聴に悩まされ、
ハンディを抱えながら、それでも、まっすぐに努力してきたのです。

そのエジソンの名言。

「天才とは、1%のひらめきと、99%の努力である」

このよい例が、白熱電球の発明でしょう(^_^)

今から130年も前。

家庭の照明器具といえば、まだロウソクかランプの頃。
ガス灯も一部で使われていたが、値段が高いうえ、
爆発する危険性もありました。

電気を使って、明るくて、安全で、経済的な照明器具を開発できないか。。

エジソンだけでなく、世界各地で、30人を超す研究者が、
白熱電球の実用化を競っていたのです。

一番の難関は、フィラメントの耐久性でした。

どの素材で、フィラメントを作ればいいのか。

一つ一つ実験をして確かめる以外になく、
金属、炭素繊維、象の皮、鯨のひげ、亀の甲羅、馬の毛、人の髪の毛、トウモロコシ、
葦(あし)、紙、麻、綿糸・・・

あらゆる素材でフィラメントを作り、エジソンは実験を続けていきました。

千回、2千回、3千回と、失敗が重なり、
ついに、失敗の数が1万回を超えた時、
若手の助手が、耐えかねてエジソンに進言。

「これだけ失敗しても、まだ続けるのですか?
 もう無理かもしれませんね」

「失敗だって?とんでもない。
 うまくいかない方法を見つけただけだ。
 一つ前進したと思えばよい。
 途中で、あきらめることが失敗なんだ」

エジソンは、どこまでも前向きでした。

そして1年以上たったある日、

ついに、百時間以上の点灯を達成し、実用化への活路が開かれたのです!

仏教で教えられる善に「精進」があります。

これは、精を出して進むと書きますが、「努力」のこと。

「精進」の反対は「懈怠(けたい:なまけること)」です。

正しい方角に向って、決してくさらず、あきらめず、
地道にコツコツ粘り強く努力を続ける前向きな人になれるようガンバ!!

 
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